日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
虫垂腫瘍を疑い結腸右半切除後にアメーバ性虫垂炎と診断した1例
出井 秀幸青葉 太郎加藤 岳人平松 和洋柴田 佳久吉原 基
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2017 年 37 巻 1 号 p. 053-056

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抄録

症例は46歳男性。既往に3回の結腸憩室出血で保存治療歴と糖尿病がある。最近の海外渡航歴はなく同性愛者ではなかった。3日間続く発熱と腹痛を主訴に当院を受診した。腹部造影CT検査では上行結腸に多発憩室と同部位での造影剤の血管外漏出を認めた。また虫垂は腫大し,不整な壁肥厚を認めたため虫垂腫瘍による虫垂炎の併発を疑った。同日,緊急で結腸右半切除を施行した。虫垂先端は穿孔しており骨盤内に膿瘍を形成していた。切除標本では結腸憩室を認めたが出血は認めず,虫垂開口部に結腸壁の肥厚と腫大を認めた。術後合併症は認めなかったが,術後7日目の採血で炎症反応の残存を認めた。術後8日目にアメーバ性虫垂炎と病理診断されたため,メトロニダゾールの内服治療を開始し,術後17日目に軽快退院となった。術前に虫垂腫瘍と結腸憩室出血を疑ったが,結腸右半切除後の病理診断でアメーバ性虫垂炎と確定診断し,治療しえたまれな1例を経験したため報告する。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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