日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
Print ISSN : 1340-2242
ISSN-L : 1340-2242
症例報告
胸骨圧迫により横隔膜損傷を合併したと考えられた院外心停止の1例
山村 英治松田 潔菊池 広子石丸 直樹
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 37 巻 1 号 p. 057-059

詳細
抄録

心肺蘇生に伴う合併症の報告例は散見されるが,横隔膜損傷の報告はみられない。胸骨圧迫により横隔膜損傷をきたしたと考えられた院外心停止症例を経験したので報告する。80歳の男性が簡易宿泊所で卒倒し,救急要請となった。救急隊が接触した時は無脈性電気活動であり心肺蘇生を開始した。救急車内で自己心拍再開を得られた。しかし,病院到着時は再度,無脈性電気活動であった。心肺蘇生を再開し自己心拍再開を得られた。CTで右多発肋軟骨骨折,横隔膜損傷,気胸,気腹症を認めた。胸腔ドレナージと集中治療管理を行ったが脳浮腫により死亡した。胸骨圧迫による合併症は,肋骨骨折や胸骨骨折など胸部に多くみられる。本症例の横隔膜損傷は肋軟骨骨折が原因と考えられる。蘇生ガイドライン2015に準拠した心肺蘇生による胸部合併症の減少が予後改善に寄与すると考えられる。

著者関連情報
© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
前の記事 次の記事
feedback
Top