日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
急性虫垂炎の診断で手術を施行した虫垂子宮内膜症の1例
豊田 良鎬京兼 隆典河合 徹渡邉 克隆小出 史彦落合 洋介浅井 悠一久世 真悟
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2017 年 37 巻 1 号 p. 075-078

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抄録

症例は48歳女性。右下腹部痛を主訴に当科を受診した。血液検査所見では白血球数7,200/mm3,CRP 2.64mg/dLと炎症反応の上昇は軽度であったが,腹部造影CT検査で回盲部付近に壁肥厚を伴う腫大した虫垂を認め,それと連続して背側に径1.5cmの内部に低吸収域を有する腫瘤を認めた。急性虫垂炎および虫垂周囲膿瘍形成の診断で緊急手術を施行した。腹腔鏡所見では虫垂先端に暗赤色の組織と,その近傍に黄白透明な粘液の付着を認め,虫垂子宮内膜症が疑われた。虫垂以外に所見は認められず,腹腔鏡下虫垂切除を施行した。術後病理組織学的検査で,虫垂の筋層に子宮内膜組織が存在し,その近傍で虫垂壁外への粘液の漏出と粘液塊の形成が認められた。虫垂子宮内膜症による狭窄が原因の虫垂粘液腫,虫垂炎と診断された。女性の虫垂炎では虫垂子宮内膜症が原因となる可能性を念頭に置くことが重要であると考えられた。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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