日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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症例報告
巨大臍ヘルニア嵌頓による腸間膜捻転で広範囲な腹腔内小腸壊死をきたした1例
西幹 和哉三原 俊彦岡田 憲幸山元 康義向井 友一郎
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2017 年 37 巻 3 号 p. 475-477

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抄録

症例は73歳女性。20年以上前より徐々に増大する臍ヘルニアを認めるも放置していたが,自制不可の激しい腹痛が出現し救急搬送された。腹部は臍が直径20cm,高さ10cm大に隆起し皮膚の色調変化も認められた。腹部造影CT所見では腸管脱出を伴う臍ヘルニアがあり腹水も認められ,腹腔内小腸には浮腫性・虚血性変化がみられ,ヘルニア門での小腸間膜の捻じれによる絞扼性イレウスと診断し,同日緊急手術を施行した。ヘルニア囊内の腸管は虚血を認めるも壊死は認めなかった。腹腔内には血性腹水を認め,ヘルニア門に陥入していた腸間膜の還流領域と思われる小腸が約100cmにわたって壊死していた。同部位の腸管は切除吻合した。今回,われわれはヘルニア門部での腸間膜虚血により,ヘルニア囊内に嵌頓した腸管にも虚血を認めたが,腹腔内腸管により高度な虚血と壊死をきたしたまれな臍ヘルニアによる絞扼性イレウスを経験したので報告する。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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