日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
受傷後12日目に遅発性脾破裂として発症した脾内仮性動脈瘤の1例
植村 慧子仙丸 直人東海林 安人湯浅 憲章
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2017 年 37 巻 3 号 p. 507-510

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抄録

症例は66歳女性。階段10段の高さから転落し,左上腕骨近位端骨折と左第7~9肋骨骨折の診断で当院整形外科入院となった。受傷後第11病日に左上腕骨骨折接合術を施行した。第12病日に血圧低下,貧血が進行しショック状態となり当科紹介となった。腹部CTで脾周囲に血腫,脾実質の一部に造影欠損と被膜の断裂,腹腔内に造影剤漏出像を認め,外傷性脾損傷後の遅発性脾破裂とそれに伴う出血性ショックと診断した。多量の輸液により循環動態が安定したため緊急で血管造影を行ったところ,脾動脈遠位の分枝から脾外への造影剤漏出像を認めたため経カテーテル的動脈塞栓術を施行した。経過を振り返ると,受傷後第3病日の腹部CTで,動脈相で早期濃染する脾内仮性動脈瘤が存在しており,今回の遅発性脾破裂の原因になった可能性が考えられた。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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