日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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ISSN-L : 1340-2242
原著
胆囊捻転症の臨床的検討
山野 寿久河崎 健人工藤 泰崇黒田 雅利吉富 誠二高木 章司池田 英二辻 尚志
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2017 年 37 巻 4 号 p. 531-535

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抄録

2009年から2015年に当院で経験した胆囊捻転症8例において術前診断に有用な所見について検討した。胆囊捻転症は,通常の急性胆囊炎症例と比較し低体重,高齢,女性に多くみられた。胆囊捻転症8例全例が,BMI 18.5未満の低体重症例であった。低体重症例は急性胆囊炎症例全体の8.1%であり,このうち34.8%が胆囊捻転症であり,診断の助けになる所見と思われた。画像所見では,胆囊壁の著明な肥厚,胆囊壁の造影不良,胆囊内の高吸収域,胆囊壁の高吸収域は捻転に伴う間接的所見であり,診断には捻転の直接的所見と考えられる胆囊頸部の捻転様構造の確認が重要と考えられた。低体重の急性胆囊炎症例では,胆囊捻転症を念頭に置き,CTでの読影を行うことが術前診断の大きな助けになると思われる。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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