日本腹部救急医学会雑誌
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特集:急性腹症ガイドラインの検証
消化器疾患による急性腹症術後の栄養管理
菅野 仁士内田 英二
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2017 年 37 巻 4 号 p. 559-563

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抄録

消化器疾患による急性腹症は緊急手術を必要とすることが多く,術後早期の経腸栄養が実施できないなど困難を伴う。今回,腹部緊急手術後の栄養管理について検討した。腹部緊急手術を受けた550例を対象とし,術直後からの絶食期間,集中治療室管理の有無,術後第7病日(以下,7POD)における栄養量についてretrospectiveに検討した。術後7日間以上絶食であった67例のうち,集中治療室管理となったのは25例(37.3%)であった。集中治療室管理の有無にかかわらず,絶食期間はいずれも8日であり,7PODでの静脈栄養による投与熱量はいずれも500kcalを下回っていた。腹部緊急手術後は集中治療を必要とすることが多い。低エネルギー投与が許容されるのは術後早期であり,適正な栄養管理を行わなければ急速に栄養状態が悪化するため,病態に応じて栄養投与経路,各栄養素を含むエネルギー投与量を慎重に決定しなければならない。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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