日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
腹腔鏡下幽門側胃切除における横行結腸間膜損傷による内ヘルニアの1例
深田 真宏長尾 成敏木山 茂河合 雅彦國枝 克行
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2017 年 37 巻 4 号 p. 643-646

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抄録

症例は87歳,女性。早期胃癌に対して腹腔鏡下幽門側胃切除術を施行した。術中約10mm程度の横行結腸間膜損傷をきたしたが,修復は不要と判断し手術を終了した。術後3ヵ月に嘔気が出現し,CTで横行結腸間膜への内ヘルニアによる腸閉塞と診断し緊急手術を施行した。術中所見では横行結腸間膜にヘルニア門を認め,小腸の陥入を認めた。腸管を引き抜き結腸間膜のヘルニア門を縫合閉鎖して終了した。初回手術での間膜損傷部と一致した部位にヘルニア門が生じていたことから,間膜損傷が原因と判断した。腹腔鏡下胃切除における結腸間膜の小損傷でも,ときとして内ヘルニアを惹起することがあるため術後合併症の原因となりうる可能性を認識し,腸間膜損傷の回避・修復が必要と考えられた。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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