2017 年 37 巻 5 号 p. 697-702
敗血症では,DICを合併すると予後不良であることが報告されている。敗血症性DICではAT活性が低下し,その値,例えば50%未満の場合には予後不良などと,重症度の指標となるという報告が多数なされている。また,AT製剤投与後のAT活性値が15%以上上昇した場合には予後が良好であることも報告されている。このように,AT活性値や,AT投与後のAT活性値の変化は予後予測の指標となる。これらを踏まえて,AT活性値を指標とした感染性DICの診療方針を示した。「急性期DIC診断基準」でDICと診断したら,AT活性値を測定し,50%未満であれば重症であり,また,AT製剤やTM製剤投与翌日のAT活性値を測定し,その上昇が15%未満に止まる場合も重症である。これらの重症例ではAT製剤とTM製剤などの併用療法が,軽症例ではいずれかの単剤投与が望ましいと考えている。