日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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症例報告
急性腹症を呈した小腸間膜リンパ管腫に対し腹腔鏡下小腸部分切除術を行った1例
高村 卓志草塩 公彦松本 正成鈴木 大伊良部 真一郎宇田川 郁夫
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2017 年 37 巻 5 号 p. 735-738

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抄録

小腸間膜リンパ管腫は比較的まれな疾患であり,術前診断に難渋することが多いが,急性腹症を認める症例もあり注意が必要である。症例は15歳,女性。朝心窩部痛を自覚し,腹痛が増悪したため当院救急外来を受診した。臍部に圧痛を認めたが,腹膜刺激症状は認めなかった。採血では白血球8,500/μL,CRP 0.04mg/dLと炎症所見は認めなかった。造影CTで骨盤内にSMA分枝より栄養され造影効果に乏しい腫瘍を認め,壊死腸管を疑った。小腸捻転と判断し同日緊急手術を行った。腹腔鏡で観察すると回腸末端より約110cm部に多房性で弾性軟の腫瘤を認め,腫瘤は骨盤底に落ちて回腸を巻き込み捻転している状態であり小腸部分切除・吻合を行った。病理組織検査でリンパ管腫の診断であった。捻転を契機とした急性腹症で発症し腹腔鏡下に治療を完遂した症例を経験したため報告する。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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