2017 年 37 巻 7 号 p. 1053-1056
離断型胆汁漏に対して,術後肝切離面に留置した腹腔内ドレーンを利用して胆管内瘻化に成功した胆道IVR(Interventional radiology)の手技の工夫を報告する。症例は72歳,男性。肝内結石症に対する肝前区域切除術後に後区域枝の離断型胆汁漏を発症した。経皮経肝的あるいは経乳頭的アプローチのそれぞれ単独では胆管内瘻化困難であり,腹腔内ドレーンを一時的に瘻孔から上流胆管にカニュレーションし,それを介して離断胆管を内瘻化することに成功した。胆汁漏は肝切除後の重篤な合併症の1つであり,さまざまな病態を呈しているため画一化した治療は難しい。自験例で行った工夫は侵襲も少なく特別な設備が必要ないということから,通常のRendezvous法が困難な難治性胆汁漏に対して試みてもよい手技の1つと考えられた。