2017 年 37 巻 7 号 p. 1057-1060
症例は64歳,男性。パーキンソン病,精神発達障害で施設入所中であった。腹痛,嘔吐,発熱を主訴に紹介となった。来院時,腹壁は板状硬であり,腹部単純写真では下腹部全体にU字型の巨大な腸管ガス像を,腹部単純CTではS状結腸の著明な拡張を認めたため,S状結腸軸捻転を疑い,緊急手術を施行した。術中所見ではS状結腸軸捻転と盲腸軸捻転を併発しており,Hartmann術と回盲部切除術を施行した。術後は一旦軽快したが,イレウスを反復し,術後66日目に死亡した。S状結腸軸捻転症に盲腸軸捻転症を併発した症例の報告はなく,同時切除の報告例もない。診断には腹部単純写真やCTが有用であるとされ,絞扼による腸管壊死を伴うことが多く,迅速な診断・治療が重要である。