日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
L–Pシャント留置患者に発生した異物誤飲による腸閉塞
永冨 脩二大迫 政彦大川 政士槐島 健太郎渡邉 照彦石崎 直樹
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2018 年 38 巻 3 号 p. 567-569

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抄録

症例は79歳女性。既往に認知症と正常圧水頭症(78歳)に対し腰椎くも膜下腔腹腔シャント留置がある。腹痛のため近医を受診し腸閉塞と診断され当科を受診した。造影CT検査では閉塞起点は同定できず小腸の広範な拡張と中等量の腹水貯留を認めた。また腸管内腔にPTP様の異物陰影を認めた。消化管穿孔に至った場合にシャントカテーテルを介した中枢神経系への二次感染も危惧されたため緊急手術を行った。腹腔鏡下に閉塞起点と異物の確認はできず,開腹移行し腸管を直接観察したところTreitz靭帯より180cm肛門側の回腸にPTPを触知しその口側が拡張した小腸であった。穿孔はなく,異物を摘出し直接縫合閉鎖し手術を終了した。経過は良好で術後15日目に退院した。PTP誤飲は消化管穿孔例の報告も多く,とくに腹腔内に異物留置が行われている患者に対しては注意を要する。

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© 2018, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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