日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
妊娠26週の急性虫垂炎に対して腹腔鏡下虫垂切除術を施行した1例
森園 亜里紗原 義明小林 宏寿
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2018 年 38 巻 3 号 p. 579-582

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抄録

妊婦に対する腹腔鏡下虫垂切除術の報告は本邦で散見されるようになったが,その報告例は依然少ない。今回,妊娠26週の急性虫垂炎患者に対し腹腔鏡下虫垂切除術を施行した1例を経験した。術中診断は穿孔性虫垂炎であったが,体位やトロッカー挿入部位を工夫したことで良好な視野が得られ,虫垂切除と洗浄ドレナージ術を安全に遂行できた。切迫早産の徴候を認めたため産科による母胎管理を行ったが,妊娠40週に正常経腟分娩で無事出産し,母子ともに合併症は認めなかった。妊婦に発症した虫垂炎は重症化しやすく,穿孔して腹膜炎をきたすと流早産や死産の可能性が高くなることが知られている。妊婦の急性虫垂炎に対する腹腔鏡下虫垂切除術は,低侵襲性,術中の良好な視野確保,術後の早期離床などメリットも大きく,検討可能な術式と考えられる。

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© 2018, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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