日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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原著
開腹歴のない小腸閉塞に対する腹腔鏡手術の検討
木戸川 秀生森口 智江野々村 遼田上 貴之上原 智仁野口 純也山吉 隆友岡本 好司伊藤 重彦
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2018 年 38 巻 4 号 p. 603-607

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抄録

開腹歴のない小腸閉塞に対する腹腔鏡手術の有用性について検討を行った。対象は過去16年間に鼠径ヘルニア嵌頓を除く小腸閉塞に対して腹腔鏡手術を行った78例。開腹歴のない腸閉塞18例をA群,開腹歴のある腸閉塞60例をB群として比較検討した。絞扼症例はA群50.0%に対しB群28.3%とA群に多い傾向があった。腸閉塞の原因はA群では索状物によるものがもっとも多く(55.6%),一方B群では創への癒着がもっとも多かった(31.7%)。単孔式手術を行った症例はA群で61.1%,一方B群では15.0%であった。開腹移行率はA群11.1%,B群30.0%でA群は開腹移行率が低い傾向にあった。平均手術時間はA群85.4分に対して,B群137.5分と有意にA群は手術時間が短く術後在院日数もA群は有意に短かった。開腹歴のない腸閉塞は開腹歴のある症例と比較して手術成績が良好であり,腹腔鏡下手術のよい適応である。

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© 2018, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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