日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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特集:敗血症・院内感染にいかに挑むか
待機的肝胆膵術後敗血症の術前リスク因子解析および予後の検討
片寄 友伊勢 一郎林 洋毅中川 圭森川 孝則水間 正道大塚 英郎武藤 満完徳村 弘実元井 冬彦内藤 剛海野 倫明
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2018 年 38 巻 4 号 p. 635-641

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抄録

【目的】待機的な肝胆膵術後敗血症の術前リスク因子を解析すること,および敗血症の予後に対する影響を検討することを目的とした。【方法】対象は2011年から2015年に東北大学病院あるいは東北労災病院で肝胆膵手術を施行した症例を対象とし,後向きに検討した。【結果】全症例は523例であり,敗血症発症率は膵頭十二指腸切除術,肝切除群,膵全摘群,腹腔動脈合併尾側膵切除術,肝膵十二指腸切除群でそれぞれ,6%,16%,10%,33%,56%であった。リスク因子の検討では,膵頭十二指腸切除術群はヘモグロビン12.8g/dL以下,肝切除群ではAPTT 33.6秒以上がリスク因子であることがわかった。敗血症発症から90日未満死亡例と良性例を除き全生存率を検討すると,肝切除群において敗血症例が予後不良であった。【結語】敗血症は長期予後も不良にするため,肝胆膵手術には敗血症を念頭に置いた周術期管理が必要である。

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© 2018, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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