日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
経過中に脾破裂をきたした悪性リンパ腫の1例
佐藤 啓太藤井 幸治坂口 充弘熊本 幸司
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キーワード: 脾破裂, リンパ腫, TAE, NOM
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2018 年 38 巻 4 号 p. 675-677

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抄録

症例は63歳男性。脾腫と腹腔内リンパ節腫大を指摘され,頸部リンパ節生検でびまん性大細胞性B細胞悪性リンパ腫と診断されていた。安静時の急激な左側腹部痛とともにショック症状を呈して救急外来に搬送された。造影CT検査で腹腔内血腫と脾臓内にextravasationを認めた。輸液で血圧の回復を認めたため,Transcatheter arterial embolization(以下,TAE)での治療を選択した。術後経過は良好であり,術後7日から化学療法を開始した。悪性リンパ腫による脾破裂は比較的まれである。治療法は,開腹での脾臓摘出術が過去に多く報告されているが,全身状態によってはTAEによる止血で脾臓温存することも選択肢となりうる。

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© 2018, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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