日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
Print ISSN : 1340-2242
ISSN-L : 1340-2242
症例報告
腹腔鏡下手術を行った子宮広間膜裂孔ヘルニアの2例
高見 友也冨田 雅史
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 38 巻 4 号 p. 679-682

詳細
抄録

今回われわれは腹腔鏡下に治療し得た子宮広間膜裂孔ヘルニア2例を行ったので報告する。【症例1】帝王切開の既往のある34歳女性。腹痛を主訴に来院し,術後癒着性イレウスの疑いで経過観察となっていた。しかし腹痛が増悪したため,第4病日に腹腔鏡手術を行ったところ,子宮広間膜裂孔ヘルニアの診断となった。陥入していた小腸を還納し,裂孔を縫合閉鎖し手術を終了した。【症例2】妊娠歴のある57歳女性。3日前からの腹痛と嘔吐を主訴に当院を受診。腹部造影CT検査所見で子宮広間膜裂孔ヘルニアの診断となり緊急で腹腔鏡手術を行った。術中所見では右側子宮広間膜に裂孔が認められ小腸が嵌頓していた。症例1と同様の手術を行い,2例とも術後経過は良好であった。腹腔鏡手術は手術侵襲を低減でき,整容性の点でも有利である。また腸管壊死を伴わない場合は腸管の還納と異常裂孔の縫合閉鎖で十分なため,腹腔鏡下で手術を安全に行えると考える。

著者関連情報
© 2018, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
前の記事 次の記事
feedback
Top