2018 年 38 巻 4 号 p. 683-686
症例1は72歳,男性。主訴は腹痛。尿膜管膿瘍を切除した既往があり,1ヵ月前より創部に膀胱皮膚瘻を形成し,尿道カテーテルを留置していた。腹部造影CTはイレウスの所見で,腹水貯留を認めた。腹膜刺激症状を認め,急性汎発性腹膜炎の診断で緊急開腹術を施行した。術中所見より膀胱穿孔による麻痺性イレウスと診断し,腹腔内洗浄ドレナージ術を施行し,穿孔部を縫合閉鎖した。症例2は86歳,女性。神経因性膀胱に対して尿道カテーテルを長期留置されていた。腹痛と発熱を自覚し,腹部造影CT所見より消化管穿孔による腹膜炎と診断し緊急手術を施行した。術中所見より膀胱穿孔による汎発性腹膜炎と診断した。腹腔内洗浄ドレナージ術を施行し,穿孔部を縫合閉鎖した。他疾患を疑い緊急手術を施行したが自然膀胱破裂であった2症例を経験した。自然膀胱破裂はまれな疾患とされるが,急性腹症の原因となることを考慮すべきである。