2018 年 38 巻 4 号 p. 687-692
症例は57歳女性。40℃の高熱が4~5日続き意識障害と血圧低下をきたした。血液検査所見で,炎症反応高値,血小板低値,止血凝固異常,肝胆道系酵素上昇と腎機能異常を認めた。腹部CTで胆囊内結石と胆囊壁の浮腫を認めた。臨床所見とあわせて,急性胆管炎による敗血症性DICと診断した。緊急ERCによる緊急胆道減圧後に,血液浄化療法を開始した。第5病日多量の下血し,収縮期血圧70mmHgとショック状態となり,Hbは12.3から7.0g/dLと低下していた。濃厚赤血球を8単位投与し,バイタルサインが安定した後に緊急内視鏡を施行した。十二指腸下行脚に多量の凝血塊が貯留し,内視鏡的止血術は不可能と判断し,腹部血管造影を施行した。前上膵十二指腸動脈に血管外漏出を認めゼラチンスポンジで塞栓術を施行し,内視鏡で完全な止血を確認し得た。EST後出血に対して,内視鏡止血が不可能な場合,経カテーテル動脈塞栓術は有用な止血法である。