2019 年 39 巻 6 号 p. 1043-1047
急性胆管炎は胆道ドレナージによりすみやかに改善する場合が多いが,重篤化すると敗血症から播種性血管内凝固症候群(以下,DIC)に至り胆道ドレナージのみでは改善しない。とくに高齢者ではこの傾向が高い。2008年5月よりDICの新規治療薬としてリコンビナントトロンボモジュリン製剤(以下,rTM)が本邦で使用されており,DICを合併した急性胆管炎に対するrTMの有用性を検討した。2011年4月から2018年2月に緊急胆道ドレナージを施行したDIC合併急性胆管炎を有する高齢者のうちrTMを投与した19例(rTM群)を対象とし,rTM導入以前の16例(対照群)と比較検討した。両群で患者背景に有意差は認めなかった。DICスコアは5日目まで両群間に有意差はなかったが,7日目以降はrTM群で2.1±1.4,対照群で3.6±1.6とrTM群で有意に低値であった。5日目のDIC離脱率はrTM群が89.5%,対照群が56.3%とrTM群で有意に高率であった。28日目での生存率はrTM群で94.7%,対照群で81.3%と有意差はなかったが,rTM群ではDIC増悪による死亡は認めなかった。rTMは高齢者においてもDIC合併急性胆管炎からの早期離脱,全身状態改善に有効と考える。