日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
横紋筋融解症の加療中に発症した非閉塞性腸間膜虚血の1例
箕輪 啓太野田頭 達也
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2020 年 40 巻 6 号 p. 743-746

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抄録

症例は69歳男性。当院脳神経外科から症候性てんかん後の長期臥床による横紋筋融解症の加療目的に紹介されて当科転科となった。第4病日にショック徴候を呈し,造影CTで非閉塞性腸間膜虚血を示唆する所見を認め,同日に広範囲小腸切除術を施行し,二期的手術の方針として吻合せずに閉腹した。第5病日に再開腹時に大腸虚血を認めたので左半結腸切除術を施行した。腸管壁の状態から吻合不全の危険性が高いと判断して吻合しなかった。第7病日に小腸吻合し,単孔式人工肛門造設術を施行した。循環動態安定していたが炎症反応高値で推移し,第16病日に病状悪化したため,緊急開腹術で直腸断端縫合不全を認めたので直腸追加切除術を施行した。第74病日に高カロリー輸液は不要となり,第98病日に転院。循環動態不安定な非閉塞性腸間膜虚血は外科的治療を第1選択とし,残存腸管の虚血が進行することもあるため二期的手術も念頭において治療すべきである。

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© 2020, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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