日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
Print ISSN : 1340-2242
ISSN-L : 1340-2242
重症血友病A患者の緊急手術周術期における第VIII因子補充療法について
急性虫垂炎の1例
小鹿 雅博佐藤 信博八重樫 泰法鈴木 泰小野寺 誠斎藤 和好遠藤 重厚
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 24 巻 1 号 p. 125-128

詳細
抄録

重症血友病A患者に発症した急性虫垂炎の緊急手術を経験した. 症例は25歳男性, 下腹部痛を主訴に受診し, 虫垂炎および盲腸周囲膿瘍と診断された. Abildgaardらの予測式に基づいて第VIII因子製剤 (octocogalfa) を用いて術前から術後1病日までの第VIII因子活性を80~100%に保った. 術後3病日の第VIII因子活性は20%で予測計算値を下回った. 術後3病日に施行したkinetics試験では, 投与直後の第VIII因子活性は予測値より高値であり, 理論半減期より早い低下を示していた. 周術期において第VIII因子の代謝は一定ではなく緊急手術の場合でも術後にKinetics試験を施行し投与量, 投与間隔を考慮すべきであると思われた.

著者関連情報
© 日本腹部救急医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top