日本腹部救急医学会雑誌
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消化器外科手術後に発症した急性肺動脈塞栓症の3症例
山内 聡新井 正徳小山 敦東 和明牧 真彦新谷 史明
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2004 年 24 巻 1 号 p. 99-103

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抄録

近年, 本邦で急性肺動脈塞栓症 (APE) は増加している. われわれは1999年1月から2002年12月までに, 消化器外科手術後に発症したAPEを3例経験した. 3例とも高度の肥満を認め, 2例は抗リン脂質抗体症候群を合併していた. 最近の1例は弾性ストッキング, 間欠的加圧装置により予防法を実施した1例であった. 広範囲な脳梗塞を合併した1例は, 脳ヘルニアにより死亡したが, 1例は経皮的心肺補助 (PCPS) 下にカテーテル治療を行い, もう1例は一時的下大静脈フィルターを挿入後, 抗凝固療法を施行し, 救命し得た. 消化器外科手術では周術期の臥床, 悪性腫瘍, 骨盤内操作, 腹腔鏡手術時の気腹などがAPEのリスクファクターであるが, 症状, 所見にも特異的なものが少ないことから, 周術期の合併症として常にAPEを念頭におき, 重症例には時期を逸せずにPCPSを導入し, 循環呼吸管理を行うことが大切である.

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