日本腹部救急医学会雑誌
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小腸アニサキス症による腸閉塞の1例
西 健平原 典幸矢野 誠司仁尾 義則樋上 哲哉
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2004 年 24 巻 5 号 p. 957-960

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抄録
腸閉塞をきたし緊急手術を施行した小腸アニサキス症の1例を経験した.症例は, 57歳, 女性.入院前日の夕食にアジの刺身を食べ, その後に強い腹痛が出現した.画像診断上, 腸閉塞が疑われ, イレウスチューブによる保存的治療で軽快しないため, 翌日緊急手術を施行した.回腸末端より50cmの位置で約15cmにわたり腸管が腫大し, これが閉塞部位であった.閉塞部位を20cm切除したところ, 小腸粘膜に食いこんだ虫体を認めた.虫体はAnisakis Iarva type I で, 小腸アニサキス症による腸閉塞であった.小腸アニサキス症は比較的まれで, 術前診断に難渋する.しかも, 確定診断に至らない症例が多いため, 臨床症状に応じて, 外科的治療も考慮した適切な対処が必要である.鮮魚の生食後の腸閉塞を扱う場合, 小腸アニサキス症も念頭におく必要がある.
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