抄録
肥厚性幽門狭窄症は, しばしばみられる小児腹部救急疾患である。1981年に本症の診断に超音波検査が有用であることが報告される以前には, 上部消化管造影検査による診断が行われており, 放射線被爆の問題があった。その後の超音波検査機器の性能の向上および普及により, どの施設においても幽門部の十分な観察が可能となった。そこで当科で経験した本症例を1982年から2001年までを2期に分けて, 検査方法および臨床像を比較検討した結果, 後期では, 重症例の減少が認められ, 診断方法としては, 超音波検査が上部消化管造影検査に取って代わったことが明らかになった。