日本腹部救急医学会雑誌
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体外衝撃波結石破砕療法で解除し得た胆石イレウスの1例
小川 雅子佐野 広美荒深 景一土屋 徹
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2004 年 24 巻 7 号 p. 1173-1177

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抄録

体外衝撃波結石破砕療法 (ESWL) でイレウスを解除し得た胆石イレウスの1例を経験した。症例は80歳, 男性。既往歴として胆嚢結石症, 原因不明の全身拘縮がある。嘔吐を主訴に来院, 腹部は膨満していたが自発痛, 圧痛はなかった。腹部単純X線検査では上部小腸の著明な拡張を認めた。上部消化管内視鏡検査では十二指腸球部前壁に周囲に肉芽組織を伴う憩室様の深い陥凹を認めた。腹部CT検査では小腸内部に2cm大のリング状の石灰化像がみられ, その口側腸管は著名に拡張していた。また, 胆嚢の壁肥厚と空気像, 胆嚢に接して拡張した十二指腸球部を認めた。以上より, 胆嚢結石が胆嚢十二指腸瘻を通じて落下して小腸で嵌頓し, 胆石イレウスをきたしたと診断した。まず保存的治療を行ったが軽快せず, 80歳と高齢でhigh riskであったためESWLを試みた。計8回の治療でイレウスは解除され, 経口摂取が可能となった。

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