日本腹部救急医学会雑誌
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幽門側胃切除, Billroth II法再建術後の十二指腸憩室穿孔の1例
井川 浩一吉田 禎宏今冨 亨亮斉藤 恒雄中田 昭豊
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2004 年 24 巻 7 号 p. 1211-1214

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抄録

まれな十二指腸憩室穿孔の1例を経験した。症例は83歳, 男性。右季肋部痛を主訴として近医から当院に紹介され入院となった。保存的に経過をみたが改善せず, CTで右腹部の後腹膜優位に異常ガス像を認め, 消化管穿孔による腹膜炎の診断で緊急開腹手術を施行した。開腹して十二指腸を授動し後腹膜の膿を除去すると, 十二指腸下行部外側に腸石を伴った腸壁の壊死と穿孔を認め, 憩室炎の穿孔と診断した。壊死した腸壁を襖状切除し, 腸壁欠損部にT-tubeを留置して縫合閉鎖した。術後経過は良好で, T-tubeを術後第30病日に抜去した後に退院した。なお, 本症例は幽門側胃切除, BillrothII法再建術の既往があり, 文献的検討から輸入脚の存在が穿孔を起こす要因のひとつになっていたのではないかと推測された。BillrothII法再建時に十二指腸憩室を認めた場合は, 憩室に翻転術を施すなど, 穿孔を予防する試みについても検討してみる価値があるのではないかと考えられた。

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