日本腹部救急医学会雑誌
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腸間膜損傷に対するIVRの有用性
檜垣 賢作坂本 照夫山下 典雄秦 洋文小金丸 雅道
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2005 年 25 巻 6 号 p. 809-813

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抄録
当施設では2000年から, 腸間膜損傷による腹腔内出血のOptional treatmentとして, IVRを施行している.IVRの対象症例は腹腔内出血による外傷性ショックのうちVolume resuscitationにResponderであり, 腹部造影CT検査で腸間膜損傷を疑ったものである.結果は腸間膜損傷17例中の4例にIVRを適用し全例止血に成功した.4例中2例は腸管損傷, 腸管虚血を合併していたためTAE後に開腹手術を行った.IVRの適用により輸血量の減量, 平均入院日数の短縮, 術中総出血量の減少傾向を認めた.鈍的外傷による腸間膜損傷は高率に他臓器損傷, とくに消化管損傷を合併する.当施設では, 腹部造影CT, 血管造影, TAE後消化管造影, 診断的腹腔穿刺法の各種検査を活用し消化管損傷の見落としを防いでいる.腸間膜損傷に対するIVRは, 術中総出血量を減少させる手術補助療法としての利点だけでなく, 症例を限定すれば根治的な治療法としても期待でき, 有効な治療手技となり得ると思われる.
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