日本腹部救急医学会雑誌
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急性胆嚢炎に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術施行例の検討
久保 雅俊治田 賢宇高 徹総水田 稔白川 和豊
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2005 年 25 巻 7 号 p. 877-881

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抄録

近年, 腹腔鏡手術手技の向上に伴い急性胆嚢炎に対しても腹腔鏡下胆嚢摘出術を選択する施設が増えている。当院では1995年より早期手術を基本方針に急性胆嚢炎に対し腹腔鏡下胆嚢摘出術を行っており, その適応と安全性について検討を行った。2004年12月までに当院で施行した急性胆嚢炎に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術施行例は115例である。発症から手術までの日数は4口以内; 84例, 5~7日; 11例, 8~14日; 5例, 15~28日; 11例, 29日以降; 4例であった。開腹術移行率は18.3%で, 発症後7日以内の早期手術例に限れば13.8%と低率であった。開腹術移行の理由は, Calot三角部の剥離不能が7例と最も多く, 次いで高度炎症による他臓器との癒着が5例, 進行胆嚢癌が2例, 胆管損傷が1例であった。早期手術例では術前の炎症反応 (白血球数, CRP) が強いほど手術難易度が高くなる傾向を認めた。胆嚢癌の2症例は一旦退院後, 癌死したが, その他の症例では後期合併症は認めていない。発症早期の腹腔鏡下胆嚢摘出術は安全かつ有用であるが, 高度炎症例では開腹術への移行を躊躇しないことが重要と考えられた。

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