日本腹部救急医学会雑誌
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高齢者に発症した横行結腸間膜裂孔ヘルニアの2例
齊藤 卓也井川 理泉 浩下村 克己大垣 雅晴飯塚 亮二下間 正隆竹中 温
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2006 年 26 巻 1 号 p. 85-89

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抄録

内ヘルニアのなかでもまれな横行結腸間膜裂孔ヘルニアの2例を経験したので報告する. 症例1は79歳女性. 手術歴は30歳時虫垂切除術. 大腿骨骨折で他院入院中, イレウスと診断された. 腹部症状の軽快と増悪を繰り返すため, 当科紹介入院となった. 癒着性イレウスの疑いで手術を施行した. 横行結腸間膜・大網裂孔を通り, 小腸の約2/3が陥入していた. 症例2は77歳男性. 手術歴なし. 腹満感, 嘔気の軽快と増悪を繰り返していたが, 症状強くなり当科紹介入院となった. 原因不明のイレウスにて手術を施行した. 横行結腸間膜後葉に回盲部より約40cm口側の回腸が約3cm陥入していた. 2症例とも, 小腸を環納し, ヘルニア門を閉鎖した. 術後経過は良好であった. 高齢者で原因不明のイレウスや腹部不定愁訴の既往を持ち, 軽快と増悪を繰り返す場合, 横行結腸間膜内ヘルニアを含めた内ヘルニアを念頭に置いて画像診断, 手術適応の決定が必要であると考えられた.

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