2006 年 26 巻 3 号 p. 447-450
症例は62歳の男性. 右下腹部痛を主訴に来院. 腹部CT検査で回盲部を中心とした腸管壁の肥厚と周囲脂肪組織の吸収値上昇を認め, 抗生剤投与による保存的加療を開始し症状の軽減を認めた. 治療開始から7日目に腹部CT検査を再度施行したところ回盲部に異物の存在が疑われ, 異物の消化管穿孔による腹腔内膿瘍の診断にて開腹手術を施行した. 手術所見では回盲部で腸管が癒着し一塊となり, 約2cm長の木片が虫垂から上行結腸へと穿孔しているのが認められたため木片の除去, 上行結腸損傷部位の修復および虫垂切除術を施行した. 異物による消化管穿孔はまれであり, さらに穿孔部位を虫垂に限ると極めてまれであるため, 文献的考察を加え報告した.