日本腹部救急医学会雑誌
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外傷性後腹膜乳慶性リンパ嚢腫の1例
松田 健津久 井拓松久 威史沖浜 裕司木村 祐江上 格田尻 孝
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2006 年 26 巻 3 号 p. 451-454

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抄録

鈍的腹部外傷後に発症した, 後腹膜乳魔性リンパ嚢腫の1例を経験したので報告する. 症例は48歳の女性で, 約1mの高さの脚立から転倒し右側腹部を強打した. その後, 約3日間放置していたところ, 腹部膨満感が次第に増強し, 当科を受診した. 腹部超意波およびCT検査で, 右後腹膜に巨大嚢胞を認め, 緊急入院となった. 経皮的に嚢胞の穿刺を行い黄白色の乳糜液 (2, 855ml) が採取でき, リンパ管シンチ検査にて嚢胞部に一致して集積像を確認した. 以上より, 外傷性後腹膜乳靡性リンパ嚢腫の診断を得た. 経口食摂取を制限して持続的に経皮的ドレナージを留置したところ, 排液の性状が乳糜液から透明のリンパ液に変化し, 入院29日目には排液の流出が完全に止まり, 画像上も嚢胞の消失が確認された. 入院33日目にドレーンを抜去し, 退院後も嚢胞の再発は認められていない.

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