日本腹部救急医学会雑誌
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胆管内ガスを伴った急性気腫性胆嚢炎の1例
本症におけるガスの存在部位とその意義に関する文献的検討
佐野 佳彦
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2006 年 26 巻 3 号 p. 473-476

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抄録

症例は60歳, 男性. 高血圧, 高脂血症の既往がある. 腹痛, 腹満感を主訴として2001年8月上旬入院した. 血液検査では炎症所見が高度で肝胆道系酵素が上昇していた. 腹部単純X腺検査では右上腹部に鏡面像と樹枝状のガス像, 超音波検査では胆嚢内にガスエコーがみられ, CTで胆嚢内・胆嚢壁内および, 肝内外胆管内にガス像があったため, 胆管内ガスを伴った急性気腫性胆嚢炎と診断し入院翌日にPTGBDを施行した. 暗血性の胆汁が吸引され, 胆汁培養ではClostridium perfringensが検出された. 入院15日目に待機的に手術を施行した. 腹腔鏡下に胆嚢の剥離を進めたが炎症性癒着が高度のため開腹に移行し, 胆嚢摘出術を行った. 摘出胆嚢内には多量の胆砂がみられ, 病理学的所見は急性壊疽性胆嚢炎であった. 気腫性胆嚢炎の本邦報告229例につきガスの存在部位とその意義に関し検討を加えて報告する.

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