2009 年 16 巻 1 号 p. 65-75
本稿では,中国語と韓国語の母語話者220名を対象に,SILL(Oxford,1990)を用いて,日本語の学習ストラテジーを調査した。具体的には,学習時におけるメディアへの接触状況,母語,日本語の成績,性別など,これらの要因の相違が学習ストラテジーにどのような影響を与えるのかを分析した。その結果,学習時のメディア接触の頻度が高い群と低い群とでは,日本語の学習ストラテジーが異なること,母国(中国)在住者と日本に在留する中国人留学生とを比較すると,日本語学習時のメディアの利用や学習ストラテジーに差異がみられること,中国人学習者は,韓国人よりも活字メディアをよく利用していること,などが明らかとなり,それらの理由を考察した。