本研究の目的は,普通教室において電子黒板の機能を「使える環境」と「使えない環境」で,同じ教師が,同じ国語の学習内容を教えた場合,(1)学習者の知識理解に差が生じるか,(2)どのような場面で電子黒板が活用されたか,(3)電子黒板が活用された場面では,どのような教師の指導があったのかを明らかにすることである。調査の結果,(1)電子黒板を使ったクラスは,使わなかったクラスよりも知識理解を確認するテストの平均点が高かった。それは,単に電子黒板が導入されただけで生じた差というよりも,授業において,(2)「キーセンテンスに線を引く」「学習者が書きこんで発表する」「言葉と言葉の関係を図示する」場面で電子黒板が活用され,(3)「題材に集中させる」「問いに集中させる」「考える手がかりを示す」「これから行う活動をイメージさせる」「学習者同士の考えをつなぐ」といった教師の指導があったからこそ生じた差であると考えられる。