教育メディア研究
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オンライン学習コミュニティにおけるブログの情報可視化と学習者反応に関する予備研究
宮添 輝美アンダーソン テリー佐藤 慎一
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ジャーナル オープンアクセス

2012 年 19 巻 1 号 p. 35-46

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抄録

本稿は、参加者全員のブログ投稿状況が画像として可視化されモニター可能なオンライン学習環境下に対する学習者の反応に関する予備研究を報告するものである。従来の研究によれば、オンライン学習コミュニティに働く集団力学が学習参加を促進する場合と阻害する場合の両者があることが知られている。また、全メンバーの参加状況を(画像として)可視化することが「外部フィードバック」として機能し、より高い学習パフォーマンスを育むことが知られている。本研究では、学生はブログ投稿の様子をテキストおよび画像の両形式で見ることができた。学期半ばにブログの視覚化ツールを投入し、ブログ投稿の頻度に反映される学生の行動変化を観察した。分析法として、ブログの定量的テキスト分析および学期末アンケートの二種を採用した。アンケートではブログ閲覧ツールのユーザビリティ評価を行った。結果、学生のブログの投稿頻度は学期前半に比べ学期後半に高いレベルを維持していることが判明した。本研究では、オンライン学習環境下における学習パフォーマンスの可視化が、学習コミュニティ全体の定期参加を促す自己調節機構として機能する可能性が示唆された。また、「外部フィードバック」がプラス・マイナスの両者に働き、対面授業に類似するコミュニティ参加を「なすべきかなさざるべきか」のジレンマ("to-do-or-not-to-do dilemma")が学習者反応として認められた。

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© 2012 日本教育メディア学会
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