教育メディア研究
Online ISSN : 2424-2527
Print ISSN : 1340-9352
ISSN-L : 1340-9352
メディアとしての教師
メディア論からみた授業における教師の問いかけの質について
朝倉 徹
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2013 年 19 巻 2 号 p. 1-10

詳細
抄録

2006 年に中央教育審議会より答申が出されて以降,教員研修及び教員養成課程において同答申の方針に基づいた改革が相次いでいる。しかし,教師にどのような力が求められ, それをどう養うのかという中身を精察した議論は乏しい。本稿では,メディア論的な観点から教師と学習者の関係を捉え直し,教師に必要な能力を再検討したいと考えた。そのために,既にそのメディア性を長く論じられている「言語」や「芸術作品」に関する知見に頼り,以下のような見解を導き出した。意味は流通するものではなく生成するものであり, 生成されるためには受け手の参加性が不可欠である。そこで認識の異化が行われる。生徒の認識に異化が起きるために,教師は権威に懐疑的であり,生徒に既有の価値観に敏感であり,それらを相対化するための問いかけが必要である。授業をそのようなメディア論的な場にする能力が教師に求められる。

著者関連情報
© 2013 日本教育メディア学会
次の記事
feedback
Top