教育メディア研究
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高校生のインターネット・リテラシーに対する高等学校共通教科「情報」の教員養成課程に属する学生の第三者効果に関する研究
和田 正人
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ジャーナル オープンアクセス

2014 年 21 巻 1 号 p. 33-43

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抄録

総務省は2012年に青少年のインターネット・リスクに対応する能力を育てるために,インターネット・リテラシー指標(ILAS)を発表した.そこで高校生(以下生徒とする)にインターネット・リテラシー(以後リテラシーとする)を教える必要性には,自分よりも生徒のほうがリテラシーは低いと認知することによるという,第三者効果が考えられた.高等学校共通教科「情報」の教員は,他教科の掛け持ちのために,自分のリテラシーを高めるための時間が少ない.そこで,本研究では高等学校共通教科「情報」の教員養成課程の学部学生(以下学生とする)が,大学在籍中にリテラシーを高める学習を行うための基礎資料として,学生に対するリテラシーの認知を「第三者効果」の視座からとらえることを目的とした.そのために,リサーチクエッションとして,「1. 学生は生徒のリテラシーを自分のリテラシーよりも低いと認知する」,「2. 「学生は生徒のリテラシーを自分のリテラシーよりも低いと認知する」ことが,学生が生徒にリテラシーを教える必要性があると考えることと関連する」,を調べた.学生51名にILASを用いて,学生自身のリテラシーの認知,生徒へのリテラシーの認知,リテラシーを教える必要性について調査を実施した.その結果,学生は自分の方が生徒よりもリテラシーが高いと認知していた.しかし,生徒にリテラシーを教える必要性は,生徒のリテラシーを低く認知していることからは説明されなかった.従って,リサーチクエッション1は解決したが,2は解決しなかった.しかし,一部の学生は,生徒にリテラシーを教える必要性は高く認識しており,生徒に対して教える内容,手段,リスクへの対処法など教えることを多岐にわたり考えており,さらに教員へのサポートや卒業後に教員となる自分たちの能力を高めることについても考えていた.

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