2015 年 22 巻 1 号 p. 13-24
文部科学省は平成25年10月から平成26年1月にかけて,小学校5年生および中学校2年生の児童生徒,それぞれ約3,000人を対象に,情報活用能力の習得状況を測定する調査を行った。その結果からは,入力スキルについての大きな個人差,情報を組み合わせたり関連づけたりする複雑な問題の低通過率,学校や家庭でのICT活用と情報活用能力の有意な相関,複雑な認知的な処理を要求する授業の頻度と情報活用能力の有意な相関等が明らかになった。 これらの結果から,教育メディア研究の課題として,①情報活用能力の3観点8要素の妥当性や系統性についての検討,②思考・判断・表現力を重視するカリキュラムの内容や運用方法,教授方法についての具体的な研究成果を示していくこと,③タブレットPCを含むICTの学校での活用と情報活用能力の育成の関係を明らかにすること,④家庭でのICT活用についての知見を蓄積すること,が教育メディア研究の課題として示された。