教育メディア研究
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インターネットを用いた協同学習における匿名性の影響 : 環境ランキングプログラムを例にして
山下 修一
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ジャーナル オープンアクセス

1999 年 6 巻 1 号 p. 1-11

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抄録

本研究では、インターネット上での環境ランキングプログラム(ゴミ問題)を事例にして、協同学習における匿名性の影響を実証的に検討した。まず、94件のランキング結果を匿名群・中間群・実名群に分けて分析した。さらに、15名を対象にして匿名記述と実名記述の比較実験を行った。その結果、以下の3点が明らかになった。1)匿名群・匿名記述群は、「全体ランキングの理由」の平均文字数が有意に少なかった。2)ランキング結果から、匿名群は自分たちの負担を避けてゴミ問題を他人事のように処理しようとする傾向が見られた。3)アンケート結果から、匿名記述群は「真剣に考えられた」、「自分の問題として受けとめやすかった」、「交流する相手が身近に感じられる」などの平均得点が有意に低かった。以上の結果から、匿名性が発言者としての自覚を希薄にし、ゴミ問題を自分の問題として受けとめにくくしていることが示唆された。

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© 1999 日本教育メディア学会
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