日本救急看護学会雑誌
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本邦ドクターヘリ基地病院におけるフライトナースの専門職的自律性
宮崎 博之坂本 祐子
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2018 年 20 巻 2 号 p. 7-15

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抄録

目的:フライトナースの個人特性や職場特性から専門職的自律性の実態を明らかにすること。 方法:38道府県46機のドクターヘリ基地病院50 施設の現役フライトナースを対象に、無記名自記式質問紙調査法を用いて行った。専門職的自律性は、看護専門職の自律性測定尺度を用いた。 結果:研究協力の承諾が得られた45施設のフライトナースを対象に、質問紙調査票を351通配布した。このうち回収は181 通(回収率51.6%)であった。フライトナースの年齢は37.8(±5.7)歳、看護師臨床経験年数は15.8(±5.5)年、救急看護領域での所属部署経験年数は8.3(±4.2)年、フライト経験年数は3.9(±3.2)年、フライト経験件数は100件以下が35.1%、101~300件が37.3%、301件以上が27.6%であった。フライトナースの専門職的自律性は、看護師臨床経験年数や所属部署経験年数、フライト経験年数、フライト経験件数を重ねるごとに得点が高かった。また、フライトナースとしての適性や職務満足感、職務継続意思をもち自己研鑽に励むフライトナースは、専門職的自律性が高いことが明らかとなった。 結論:本研究のフライトナースの専門職的自律性が比較的高いのは、専門職的自律性の特徴である正確な状況認知と判断、実践の一連の意思決定プロセスにおいて、臨床経験のなかで培った臨床能力を十分に発揮し、瞬時に意思決定しなければならない看護実践の積み重ねが要因であると考える。つまり、フライトナースとしての専門的な臨床実践と経験の蓄積がフライトナースの専門職的自律性を高める要因であると示唆された。

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© 2018 一般社団法人日本救急看護学会
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