2023 年 25 巻 p. 1-10
われわれは、救急外来から入院せず帰宅する救急搬送患者に対し、救急外来看護師間で統一した帰宅時支援を行う「帰宅支援フローチャート」(以下、フローチャート)を作成し、帰宅時支援を行った。本研究の目的は、フローチャートの使用実績を基に帰宅時支援が必要な患者の特徴を明らかにすることである。
フローチャートを用いて地域の相談窓口を説明する支援レベル3、医療ソーシャルワーカー(Medical Social Worker 以下、MSW)を通じて地域の専門職に情報を提供する支援レベル1および2に分類し、支援レベルに応じた帰宅時支援を行った。帰宅時支援患者の背景、フローチャートの各評価項目などのデータを収集・分析した。
帰宅時支援を提供した患者は2年間で206人であった。全ての支援レベルにおいて、外傷あるいは救急搬送理由である症状や徴候の原因を明確に特定できない状態にあった高齢患者であった。支援レベル1は、認知症医療や介護サービスを受けていない高齢患者が多く、支援レベル2は、医療および介護サービス体制の見直しが必要な要介護高齢者が多かった。今後、帰宅時支援を受けた高齢患者について、帰宅時支援後の経過、再受診および再受診理由に関するデータを収集し、再受診理由における生活上の課題の影響を検討することが必要である。