2023 年 25 巻 p. 11-20
目的:本調査の目的は、救急看護師の看護倫理および研究倫理に関する実態を明らかにすることである。
方法:日本救急看護学会会員の臨床看護師を対象とし、看護倫理や研究倫理に関する質問紙を作成し、Webによる調査を実施した。
結果:救急看護師224名のデータを分析した。回答した看護師は看護師経験10年以上が94.2%、救急看護経験10年以上が61.2%であった。51.8%の看護師が所属施設において倫理カンファレンスを全くしておらず、また83.0%が倫理カンファレンスの実施方法を学ぶ必要性があると回答し、自由記述から倫理カンファレンスの実施の難しさが明らかとなった。また倫理の根幹をなす倫理原則や倫理綱領および意思決定支援プロセス、研究倫理に関する学習ニーズは高いという結果であった。
結論:本調査の結果は、倫理に関する関心が高く、部署内で看護実践や研究を指導・実施する立場にある熟練の救急看護師の看護倫理および研究倫理に関する実態を反映している。日本救急看護学会倫理委員会として、救急看護にかかわる倫理問題の解決に向けた倫理カンファレンスの具体的な実施方法や、救急医療の場における意思決定支援プロセスに関するセミナーなどを企画する必要性が示唆された。