政党システムの分析において,これまで注目されてきたのは,基本的には社会的亀裂と政党システムの存続・変化との関係であり,地方の多様性や新党の存在は,必ずしも注目されてこなかった。しかし,近年の研究においては,地方の多様性や新党の参入を政党システムの存続・変化と結びつけた議論が進められている。本稿では,そのような議論を整理した上で,地方の多様性や新党の参入を含めて政党システムを包括的に捉える政党システムの制度化というアプローチを紹介し,今後の研究においては中央レベルと地方レベルの政党間競争を動態的に捉える観点が重要になることを指摘する。