いわゆる「ねじれ国会」という政治状況は,有権者の意識と行動にどのような影響を及ぼしているのか。本論文では,2012年総選挙前後に実施したWEB調査のデータを用いて,「ねじれ」状況に対する有権者の見解が業績評価や投票行動のあり方に及ぼす影響について検討した。分析の結果,(1)一院制への移行を望む有権者や国会の意義を評価する有権者ほど「ねじれ」状況を問題視する傾向があること,(2)民主党内閣の業績に対する評価に最も大きな影響を与えた政策は,鳩山内閣が「沖縄米軍基地問題」,菅内閣が「原発事故対応」,野田内閣が「税制改革」であること,(3)「ねじれ」という政治状況を問題視する有権者には,「ねじれ」に苦しめられた内閣の業績を相対的に高く評価する傾向や,業績評価を投票行動にあまり結びつけないという傾向が見られることが明らかとなった。