政治学における因果実証主義や学際性の強まり,経済学・心理学・社会心理学など隣接諸科学における実験アプローチの発展を背景として,政治学においても実験研究が再注目されている。実験研究は政治学をより豊かにするか。本稿は,Kinder and Palfrey (1993),Lupia (2002),McDermott (2002),Druckman,Green,Kuklinski,and Lupia (2006, 2011),Morton and Williams (2010) などの論考に基づき,政治学を含む社会科学で行われている実験法の種類とそれぞれの基本的性格,実験法の長所と短所,政治学で行われている実験研究のトピック,政治学実験のメリットと問題点を整理する。その上で,政治学における実験研究の発展可能性,また実験を行う際の視点・留意点について述べる。