選挙研究
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1997年イギリス総選挙と業績投票
阪野 智一
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1999 年 14 巻 p. 111-121,179

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抄録

本稿は,97年イギリス総選挙を業績投票の枠組みから分析したものである。70年代以降,有権者は階級的,党派的に脱編成化の傾向にある。80年代における保守党支持の相対的安定性も,97年総選挙における労働党の大勝も,(1)経済運営能力,(2)政治指導者への評価,(3)マス•メディアの支持によって説明できる。経済運営に対する保守党の信頼は,92年9月におけるERM危機によって著しく損なわれた。他方で,ブレアの党首選出と新生労働党への転換は,党と党首への評価において「ブレア効果」をもたらした。92年総選挙まで保守党に好意的であったマス•メディアは,97年総選挙では一転して労働党支持に回った。極めて良好な経済状態下での政権党の大敗という,97年総選挙における最大のパラドックスも,経済運営能力に対する評価と個人の生活状態に関わる好感要因という,2つの要因に着目することによって整合的に説明できる。

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