選挙研究
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粛正選挙と与党系新人の進出
昭和12年総選挙時の石川県第1区を中心に
坂本 健蔵
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1999 年 14 巻 p. 89-100,179

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抄録

従来の粛正選挙に関する研究の多くは,既成政党を中心とする政党を排撃する役割を果たしたとしている。本稿はかかる見解を検証するため,昭和12年4月に行われた総選挙を石川県第1区を中心に考察した。同選挙は,林内閣下において行われたものであったが,全国結果をみると野党勢力の圧勝,与党勢力は惨敗となった。しかも与党系の新人候補の当選は僅少であった上,純新人は石川1区の候補者のみであった。同候補の当選要因を考察すると,林首相の地元である同選挙区の「林内閣人気」が最大の進出要因であることがわかった。そして言論戦が主要な選挙手段となった粛正選挙はこの人気を直接票に結びつける役割を果たしたが,他方で林内閣は全国的に不人気であったため,与党勢力の不振を招く結果となったといえる。かような考察結果から,粛正選挙に政党排撃機能は見出せず,言論戦が中心となり,従前の選挙戦に比べより公正な側面があったことを明らかにした。

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