選挙研究
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日本の連立政権形成における国会の論理と選挙制度の論理
成田 憲彦
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2001 年 16 巻 p. 18-27,180

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抄録

わが国では1993年以来連立政権が一般化したが,連立の組み合わせは恣意的で,選挙が必ずしも組み合わせを規定していない。選挙を意識して,連立が解消されるケースも見られる。恣意的な組み合わせが成立する理由としては,大統領等が首相を任命したり,その候補者を議会に提案したりするヨーロッパ各国などと異なり,わが国では首相が国会によって自発的に選挙され,かつ国会が手続,アカウンタビリティー,正統化などよりも,多数派の意思の確認に重点を置いた仕組になっているために,政党の合従連衡だけで容易に政権が成立すること,政党の組み合わせに関係なく,官僚主導で政権運営が可能なこと,「与党のうまみ」があることなどが挙げられる。連立政権が政権の獲得から,立法の実現に重点を移したのは,立法に関する参議院の権限が強いわが国の二院制の影響による。一方衆議院の選挙制度である並立制は,穏健な多党制を促進し,連立政権をもたらしているが,政党間の協力の仕組を欠き,連立のための政党間の提携関係に対して破壊的に作用している面もある。今後連立政権が常態化するとすれば,連立にとって整合的な選挙制度とするための改革も求められよう。

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